「三宮クロススクエア」は、神戸・三宮駅前の道路空間を、人が歩きやすく滞在しやすい広場へ変えていく再整備計画です。名前だけを見ると新しい商業施設のように思えますが、実際は三宮交差点を中心とした駅前の公共空間そのものを大きくつくり替えるプロジェクトです。
2026年9月時点では完成前で、JR三ノ宮新駅ビルや歩行者デッキなどの工事と並行して整備が進められています。この記事では、三宮クロススクエアがどこにできるのか、いつ完成するのか、現在はどこまで進んでいるのか、完成後に何が変わるのかを整理します。
三宮クロススクエアは2029年度に東側の第1段階完成を目指す計画

結論からいうと、三宮クロススクエアは2029年度を目標に、まず三宮交差点の東側で第1段階の完成を目指しています。JR三ノ宮新駅ビルの開業と同じ時期に合わせて整備する計画です。
ただし、2029年度に三宮クロススクエア全体が最終形になるわけではありません。神戸市は交通状況を確認しながら段階的に整備する方針で、第1段階では東側の車道を最大10車線から6車線へ減らし、その分を歩行者中心の広場空間へ転換します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 場所 | 三宮交差点を中心とする中央幹線・フラワーロード周辺 |
| 第1段階 | 三宮交差点の東側を中心に整備 |
| 完成目標 | 2029年度 |
| 車線 | 最大10車線から6車線へ |
| 主な狙い | 歩行者空間の拡大、駅と街のつながり強化、にぎわいづくり |
| 関連事業 | JR三ノ宮新駅ビル、三宮駅周辺歩行者デッキ、新バスターミナルなど |
三宮駅前を「車中心」から「人中心」へ変える
現在の三宮駅前は、JR、阪急、阪神、地下鉄、ポートライナーなど多くの交通機関が集まる一方、東西方向の大きな幹線道路が駅と街の間を通っています。駅を出て買い物や観光へ向かう人にとって、道路を横断する場面が多く、腰を落ち着けて休める駅前空間も十分とはいえませんでした。
そこで神戸市は、都心部を通り抜ける自動車交通を周辺道路へ誘導しながら、駅前の道路を必要以上に広く使う状態を見直しています。道路をなくすのではなく、交通機能を保ちながら歩行者のための空間を増やす考え方です。神戸市の公式ページでも「車中心から人中心の空間に段階的に転換する」と説明されています。
2029年度時点では東側が中心
第1段階の対象として特に大きく変わるのは、三宮交差点からJR三ノ宮駅南側、神戸阪急周辺にかけての東側です。JR三ノ宮新駅ビルの南側には、駅ビル低層部と一体につながる広場的な空間が計画されています。
そのため、「三宮駅前の道路が2029年度にすべて広場になる」と考えるのは正確ではありません。まず東側を整備し、交通状況や周辺事業の進み方を見ながら段階的に範囲を広げていく計画です。
三宮クロススクエアはどこ?三宮交差点を中心に駅と街をつなぐ

三宮クロススクエアは、特定の建物や一つの公園の名称ではありません。中心になるのは、JR三ノ宮駅の南側にある三宮交差点周辺です。東西に走る中央幹線と、南北に伸びる税関線、通称フラワーロードが交わるエリアを、人と公共交通を優先した駅前空間へ変えていきます。
JR三ノ宮駅南側と神戸阪急周辺が大きく変わる
初めて位置をイメージするなら、JR三ノ宮駅の中央口・東口から南側へ出たエリアを思い浮かべるとわかりやすいです。神戸阪急、ミント神戸、三宮センター街東口、現在工事が進むJR三ノ宮新駅ビル周辺が、三宮クロススクエアと強く関係する場所です。
2026年度には、神戸市の発注予定業務として「三宮クロススクエア(神戸阪急周辺)詳細設計業務」も示されています。つまり、第1段階の完成に向けて駅ビル前だけでなく、神戸阪急側を含む周辺空間の具体的な設計が進められている段階と見てよいでしょう。
6つの鉄道駅を一つの大きな駅のようにつなぐ考え方
三宮には、JR三ノ宮駅、阪急神戸三宮駅、阪神神戸三宮駅、地下鉄西神・山手線三宮駅、地下鉄海岸線三宮・花時計前駅、ポートライナー三宮駅があります。路線ごとに駅の位置や高さが異なり、慣れていない人には乗り換えがわかりにくい場所もあります。
神戸市は、これら6つの駅とバス乗降場、周辺の街をまとめて「えきまち空間」と捉えています。三宮クロススクエアはその中心的な場所です。地上の広場だけをきれいにするのではなく、デッキや地下空間も組み合わせ、駅同士の乗り換えと街への移動をわかりやすくすることが狙いです。
元町やウォーターフロントへ歩く流れも意識されている
三宮クロススクエアは駅前だけで完結する計画ではありません。神戸市は、三宮駅からフラワーロードを南へ進み、東遊園地や旧居留地、ウォーターフロント方面へ向かう人の流れも重視しています。
三宮は駅と海側の観光エリアが比較的近い街ですが、駅前で大きな道路に分断される印象がありました。歩行者が自然に街へ流れていける空間になれば、センター街や旧居留地だけでなく、東遊園地や新港町方面まで歩いて回る人が増える可能性があります。三宮クロススクエアの意味は、単なる「駅前広場の拡張」より広いと考えたほうが理解しやすいです。
完成後の三宮クロススクエアはどう変わる?広場・緑・デッキが一体化

完成後の大きな変化は、道路だった場所の一部が、歩いたり休んだりできる空間へ変わることです。神戸市が公開しているイメージでは、緑のある滞留空間、ベンチ、イベントなどに使える広場、沿道施設と一体になったにぎわい空間が描かれています。
ベンチや緑がある「立ち止まれる駅前」へ
現在の三宮駅前は人通りが多いものの、「待ち合わせまで少し座る」「飲み物を買って外で休む」といった過ごし方がしやすい場所は限られています。三宮クロススクエアでは、木陰やベンチなどを設け、通過するだけではなく滞在できる駅前を目指しています。
神戸市は、広場のスタンドでコーヒーを買う、音楽などのパフォーマンスを楽しむといった利用場面も示しています。ただし、現時点で特定の店舗やイベントが決まっているという意味ではありません。公開されているパースは空間の使われ方を示すイメージであり、具体的な設備や運営内容は今後変わる可能性があります。
JR三ノ宮新駅ビルと一体感のある空間になる
三宮クロススクエアを考えるうえで外せないのが、2029年度の開業を予定するJR三ノ宮新駅ビルです。UR都市機構によると、新駅ビルは地下2階・地上32階、延床面積約10万平方メートルで、商業、ホテル、オフィスの機能を持つ計画です。
駅ビルの低層部は、南側の広場空間に対して開かれたつくりが想定されています。駅ビルの入口と道路の間に単なる通路をつくるのではなく、建物の中と外が連続するような場所を目指している点が特徴です。駅ビルの開業と三宮クロススクエアの第1段階が同じ2029年度を目標にしているのは、この一体性をつくるためです。
歩行者デッキで乗り換えや回遊もしやすくなる
地上の広場と並行して、三宮駅周辺では歩行者デッキの整備も進んでいます。ミント神戸から新バスターミナル方面へ向かうデッキは2027年度頃、ミント神戸から神戸交通センタービル側へつながるJR三ノ宮新駅ビル周辺デッキは2029年度頃の完成予定です。
デッキは単に横断歩道を避けるための通路ではなく、三宮クロススクエアと接続し、広場を見渡せる場所や滞在空間も組み込む計画です。地上、デッキ、地下の移動経路が選べるようになることで、路線間の乗り換えや周辺施設への移動が今よりわかりやすくなることが期待されています。
自転車は歩行者と分けて安全性を高める計画
歩行者空間を広げると、自転車との接触が増えないか気になる人もいるでしょう。神戸市は第1段階で、自転車走行空間を設けて歩行者と自転車を空間的に分ける考えを示しています。
三宮駅前は徒歩利用者が非常に多い一方、中央幹線には自転車交通もあります。歩道を広げるだけで両者を同じ場所へ集めるのではなく、通行する場所を整理することが重要です。完成後は「歩行者が広く使える」ことに加えて、自転車の通り方がわかりやすくなるかも使いやすさを左右するポイントになります。
2026年現在の工事状況と2029年度までのスケジュール

2026年9月時点では、三宮クロススクエアそのものが完成しているわけではありません。一方で、JR三ノ宮新駅ビルや歩行者デッキの工事に伴う車線規制によって、第1段階と同じ6車線の状態はすでに実現しています。見た目は工事中でも、将来の道路構成に近い形で交通が流れている段階です。
2026年は設計と周辺工事が続く時期
神戸市の2026年度発注予定には、神戸阪急周辺の詳細設計や三宮駅周辺の案内サイン設計などが含まれています。JR三ノ宮新駅ビル周辺では建設工事が続き、デッキ工事に伴う歩行者動線の変更や道路規制も行われています。
そのため、2026年の三宮を歩くと「もうクロススクエアができているのか」「単なる工事規制なのか」がわかりにくく感じるかもしれません。現在の6車線化は実現していますが、広場の舗装、植栽、滞在設備などを含む完成形になったわけではありません。
2027年度頃は新バスターミナル側のデッキが大きな節目
三宮駅東側では、新バスターミナルⅠ期ビルの整備も進んでいます。これに合わせて、ミント神戸から新バスターミナル側へつながる歩行者デッキは2027年度頃の完成が予定されています。
三宮駅周辺の再整備は、一つの施設が一度に完成するのではなく、複数の工事が数年かけて順番に形になっていくのが特徴です。2027年度頃からデッキや新バスターミナル側の動線が変わることで、2029年度の駅前完成イメージを少しずつ実感しやすくなると考えられます。
2029年度はJR新駅ビルと第1段階完成の目標年
2029年度は、三宮クロススクエア第1段階にとって最も大きな節目です。JR三ノ宮新駅ビルの開業、JR三ノ宮新駅ビル周辺デッキの完成、駅前広場空間の整備が同じ時期を目標に進められています。
ただし、大規模な都市整備では工事工程や関係機関との調整によって予定が変わることがあります。訪問予定や店舗の開業時期などを判断するときは、年単位の計画だけでなく、神戸市やJR西日本、UR都市機構が出す最新情報を確認するのが確実です。
| 時期 | 主な動き |
|---|---|
| 2026年度 | 神戸阪急周辺などの詳細設計、駅ビル・デッキ関連工事を継続 |
| 2027年度頃 | 新バスターミナル側の歩行者デッキ完成予定 |
| 2029年度 | 三宮クロススクエア東側・第1段階完成目標、JR三ノ宮新駅ビル開業予定 |
| その後 | 交通状況や大阪湾岸道路西伸部の供用などを踏まえ、第2段階を検討 |
第2段階では6車線から3車線に減らす構想
第1段階より先には、第2段階として車道を6車線から3車線へ減らし、さらに広い歩行者空間をつくる構想があります。最新の神戸市資料では、大阪湾岸道路西伸部の供用後を一つのタイミングとして示しています。
ここで注意したいのは、昔の資料に「2030年頃」などの表現があっても、現在の公式資料では第2段階の時期を固定的な完成年として示していないことです。自動運転などの技術、公共交通への転換、人口や交通量の変化を見ながら検討するとされています。したがって「2030年に3車線化が完成する」と断定しないほうが正確です。
車線を減らして渋滞は大丈夫?交通対策も並行して進めている

三宮クロススクエアで最も気になりやすいのが、最大10車線を6車線へ減らして渋滞がひどくならないかという点です。神戸市もこの問題を前提にしており、いきなり車線を減らすのではなく、交通社会実験や交差点改良、交通量調査を重ねながら計画を進めています。
2019年に6車線を再現する交通社会実験を実施
2019年には、第1段階と同じ6車線の状態を再現し、周辺道路の交通への影響を調べる社会実験が行われました。その結果を踏まえ、中央幹線を通り抜ける車を浜手幹線などへ誘導するため、春日野交差点の改良などの対策が実施されています。
三宮駅前を通る車の中には、三宮そのものが目的地ではなく都心部を通過するだけの車もあります。こうした交通を外周道路へ分散させることができれば、駅前の車線を減らしても影響を小さくしやすくなります。
2024年の調査では交通の転換と渋滞解消を確認
神戸市は対策後の2024年7月にも主要交差点で交通量調査を行っています。その結果、中央幹線の西行き交通が数千台単位で浜手幹線方面へ転換し、交通社会実験時に見られた旧中央区役所前交差点の渋滞が解消したとしています。
また、JR三ノ宮新駅ビルや歩行者デッキ工事に伴う規制によって現在すでに6車線化されていますが、神戸市の2026年5月更新ページでは、春日野交差点の改良などにより三宮交差点周辺で渋滞は発生していないと説明しています。
ただし、これは「三宮周辺で今後どんな時間帯でも渋滞しない」という意味ではありません。工事規制、事故、イベント、休日の交通集中などで一時的な混雑は起こり得ます。車で三宮へ行く場合は、クロススクエア計画そのものより、その日の交通規制を確認するほうが実用的です。
三宮クロススクエアを見るときに知っておきたいポイント

三宮クロススクエアは将来の神戸を象徴する大きな計画ですが、2026年時点では「完成した観光スポット」ではありません。現地を見る場合は、完成予想図と今の工事現場の違いを理解しておくと混乱しにくくなります。
今は完成形ではなく、工事の途中
現在の三宮駅周辺では、新駅ビルの建設、デッキ工事、道路の切り替えなどが進んでいます。道路が6車線になっている場所を見ても、そこがそのまま最終的な広場の形というわけではありません。舗装、植栽、ベンチなどの整備が加わることで、印象は大きく変わるはずです。
逆にいえば、今は都市が変わっていく途中を見られる時期でもあります。数年おきに訪れると、駅前の歩行者動線や建物の姿が変化していることがわかりやすいでしょう。
完成イメージの噴水や店舗を「確定」と考えない
三宮クロススクエアのイメージパースには、緑、ベンチ、人が集まる広場、飲食を楽しむ様子などが描かれています。しかし、神戸市はパースについて、今後の設計や関係機関との協議で変更される場合があると明記しています。
そのため、画像に描かれた設備や店舗を見て「この場所に必ず噴水ができる」「この形のカフェができる」と決めつけないことが大切です。確定情報として押さえておきたいのは、人中心の広場へ転換すること、東側第1段階で6車線化すること、JR新駅ビルなどと一体的に整備することです。
三宮を歩いて楽しむ人ほど変化を実感しやすい
完成後のメリットを最も感じやすいのは、電車を降りてセンター街、旧居留地、東遊園地、ウォーターフロントなどへ歩く人だと考えられます。駅前で道路を渡って終わるのではなく、広場で休みながら街へ向かえるようになれば、移動そのものの負担感が小さくなるからです。
一方、車で駅前を東西に通過する人にとっては、道路空間の再編によるルートの変化が大きなポイントになります。三宮クロススクエアは、全員に同じ形の便利さを与える計画ではなく、駅前の限られた空間をどの交通手段にどれだけ配分するかを見直す事業です。歩行者優先を進めつつ、車の流れを周辺道路へ分散させる交通対策が計画の成否を左右します。
最新情報は神戸市・UR都市機構などの公式ページで確認
再開発は予定変更が起こることもあるため、最新情報を確認するときは神戸市、UR都市機構、JR西日本などの公式情報を優先するのがおすすめです。特に完成時期、交通規制、歩行者動線は更新されやすい項目です。
車線数、完成目標、交通量調査、広場の考え方をまとめて確認するなら、神戸市「三宮クロススクエア」がわかりやすいです。JR新駅ビルやデッキを含めた東地区の進捗は、UR都市機構「三宮クロススクエア東地区」でも確認できます。
工事中に現地へ行く場合は、神戸市「三宮の駅周辺の歩行者動線」も実用的です。三宮クロススクエアは長期プロジェクトのため、古い資料には現在と異なる完成目標が残っている場合があります。「いつ完成するか」を調べる際は、記事の更新日と公式の最新スケジュールを照らし合わせると判断しやすくなります。
三宮クロススクエアは2029年度の東側第1段階完成が大きな節目
三宮クロススクエアは、三宮交差点を中心とする駅前道路を、人と公共交通を優先した広場空間へ変えていく計画です。2026年9月時点では工事途中で、現在の6車線化は実現しているものの、広場としての完成形にはなっていません。
大きな節目は2029年度です。JR三ノ宮新駅ビルの開業と同じ時期に、東側の第1段階完成が目標とされています。ベンチや緑のある滞在空間、駅ビルと一体になった広場、歩行者デッキなどが整うことで、三宮駅前は「通り過ぎる場所」から「少し過ごしてから街へ歩き出せる場所」へ変わることが期待されます。
一方、第2段階の3車線化は将来の交通状況などを見ながら検討される計画です。三宮クロススクエアを理解するときは、2029年度が最終完成ではなく、東側第1段階の完成目標である点を押さえておくと、今後の再整備ニュースも読み解きやすくなります。


